心理的偏向の源泉(その1)

トレーダーYです!

前回、人は意外にも合理的に行動しないことがあるということを書きました。その「源泉」は、いったいどこにあるのでしょうか。これ、実は、「トレーダー自身の中にある」のです。

まず、人には、過去の経験や記憶を頼って判断する傾向が見られます。これがマーケットに参加しているトレーダーにも同様に見られるというのは実に不思議な話なのですが、手持ち資金が乏しい時期には株には目もくれなかったのに、少し余裕資金ができてくると、「株でも買おうかな」という気持ちになるのが典型例と言えそうです。

本来は、株式市場全体が景況感の好転によって上昇が見込まれる、あるいは、個別の銘柄が値上がりすることについて、絶対的な自信があるという場合にのみ、株式の購入という意思決定が行われるべきなのですが、実際のトレーダーの行動を見ていると、とてもそのような形で合理的に判断が行われているようには思えません。

この例で言うと、「株価が上がるかどうか」よりも「購入資金があるかどうか」の方が株式購入の強い動機になっています。

また、上昇を見込んで購入した株式が、たまたま値下がりしたような場合には、これまた淡い期待を抱いたまま保有を継続するということが非常によく見られます。当初は「短期売買」のツモリで参戦したのに、いつの間にか「長期投資」に切り替わり、そして「戻れば売ればよい、戻らなければ売らなければよい」という悪しき習慣に逆戻り・・・トレーダーが陥りやすい落とし穴の1つと言えそうですね。